「絶対ブレない軸の作り方」を読んで
タイの本屋でたまたまスターバックス元CEOの人が書いたリーダシップの本がタイ語訳されているものを見て、
あ、この本また読みたい!
と思い、日本に帰国した際に、実家の屋根裏にある大量の本が入ったダンボールを漁った。
肝心のスターバックスの本は出てこなかったものの、
大学二年時にAmazonで衝動買いした、沢山の本が出てきた。
南さんの、「絶対ブレない軸のつくり方」「最高の仲間のつくり方」や
「リーダーになる君に」「さあ、才能に目覚めよ!」「ディズニーが成果をあげる理由」などである。
おそらくそのダンボールに入っている8割くらいは読んでないもので、
衝動買いって本当にこういうことを言うんだなって思った。
せっかく買ったものだし、今読んだら面白いかも、と思い、
10冊ほどダンボールから取り出して、いくつか読んでみることにした。
そうして、手を取った本がこの、「絶対ブレない軸の作り方」である。
なんともどストレートな自己啓発本感満載のタイトルなのだが、読んでみると勇気を貰える部分がいくつかあった。
ここでは、この本で出会った素敵な言葉や考え方を紹介したい。
1.やりたいことを1000個書き出せ!!!(P.9〜)
著者が、ワールドカップで日本代表が勝利する瞬間を生で見て、
感動で涙を流せるくらいの仕事がしたい、と考え始めた後に、
将来のキャリアに悩み始めた時に出会ったこの言葉。
当時勤めていたモルガン・スタンレーの伝説的社長ジョン・マック氏は、
「やりたいことをすべて、紙に書き出してみなさい」
そうして、著者は、仕事・プライベートの枠組み関係なしにやりたいことを思いつく限り書き出したという。
球団オーナーになりたい、ハワイに別荘を持ちたい、など、何かの枠組みにとらわれず、かつ、具体的に細やかに書いたそのリストは、結果的に、1000個ものやりたいことが書かれたものになったという。
そして、著者はそのリストを、
「進むべき方向性を見定めようと、手探りでもがいていた自分にとって、重要な目標設定になった。」
「自分のありのままを表す非常にわかりやすい「作品」となり、人生の道標となった。」
と表現している。
そして、このリストを見つめながらさらに将来について悩んでいた著者は、あることに気づく。
それは。
「自分のやりたいことには、いくつかの共通点、つまり「軸」があること」
「そのリストを大きく3つのカテゴリーに分けることができること」
である。
「スポーツが好き・人が好き・商売が好き」とカテゴライズされたそのリストを見て、
著者は、
「自分の人生にこの三つの軸があれば、人生楽しいと思えるに違いない」
と確信したという。
まとめると、
やりたいことリストを作る
→ 人生の目標&道標の設定
→ 自分の人生を豊かにする「軸」の発見
2.「できない理由」より「できる理由」を。最初は、「70点」を目指そう。(P.47, 83, 87)
ジョン・マック氏に言われたとおり、やりたいことを紙に書き出したことにより、
自分の進むべき方向性を明らかにすることができた著者は、
夢であったスポーツビジネスの世界に飛び込む第一歩目として、
メジャーリーグの球団オーナーに手紙を書き、手応えが少しでもあった相手には、直接アメリカにまで会いに行ったというエピソード。
最終的に、メジャーリーグで活躍する日本人選手を抱えているエージェント全員に会うことが出来た著者は、
そのときの感情をこう綴っている。
「今考えてみると、サラリーマンの常識では考えられない行動かもしれない。
ただ、無我夢中だった。
そして、それまでの自分を振り返り、「できる理由より、できない理由ばかりを考えていたんだな。」と強く反省した。
強く思えばなんでも叶えることができる、それを証明する結果だった。」
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また、著者が高校時代にアメリカの大学に受験するためにあらゆる手をうち、合格までの道を切り開いたというエピソードの中に、
このような言葉が綴られている。
「大事なのは、行動を起こす時は、「できない理由」のリストはひとまず置いておき、
自分自身の行動を加点主義で考えてあげること。」
「「できないこと」ではなく「できること」に焦点を合わせることで、
本来自分がやりたかったことをよりポジティブに捉えることができ、ワクワクしながら行動に移せるようになるのだ。」
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「できない」ではなく、「できる」に焦点をあて、行動を起こしていく次に必要なのが、
リストアップされたやるべきことに、「優先順位を付けること」だと、著者は言う。
楽天イーグルスという新球団設立という、大きな挑戦に立ち向かう際に、常に心がけていたことを以下のように語っている。
「優先順位を決めるための究極の方法は、「捨てるものは捨てる」と決めること。
新しいことを始めるならば、最初から100点を狙う必要はない。
まずは70点を目指すのだ。」
「「あれもこれもやらなければ」と考えて、結局手が回りきらず、
すべてが中途半端なままデッドラインを迎えてしまうというのは、多くの人が陥りやすい盲点である。」
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そして、ほんの最後の方に、以下の様な表現もしている。
「小さな成功体験を積み上げるために、一つ意識していることがある。
それは、「できない理由」から考えるのではなく、「できる方法」から考える、ということ。」
「できない理由は目を凝らせばいくらでも見えてくる。
しかし、そこばかりを見ていると、諦めることにつながってしまう。
だから、できない理由を考えるのではなく、できる方法を考え抜く。」
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3.打たれ強くなるために、リスクを書き出してみよう。(P.104)
気持ちの面での打たれ強さを形成するには、打たれ強くなることが必要だと、著者は言う。
「学生時代にスポーツを一生懸命やっていた人間が、ビジネスの世界でも活躍できる可能性が高いのは、
一言で、「打たれ強さ」があるから、それに尽きる。」
「野球のバッティングは、10回中7回失敗しても、天才と呼ばれる。
サッカーも、何度もの難度も無駄な走りを繰り返して、初めてパスが回ってくる。
そして、その回ってきたパスを決めるのは、そのまた何分の一である。」
「スポーツをしている人に強みはそこにあり、失敗することは当たり前だと受け止めて、
どうやったら成功するかを一生懸命考えて次のチャンスを愚直に狙う。」
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そう綴られた文章の最後には、著者流の「打たれ強くなる方法」が書かれている。
「打たれ強くなれ、と言われても簡単にはなれない。
そんなときは、「自分にとってのリスクは何なのか」を、自分に問うてみる。紙に書いてみるのも良いだろう。
案外、失敗した後の結果は小さいものだということに気づくことがある。」
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4.成功した姿を、「正しく」妄想してみよう。(P.110〜114)
著者が、社内での英語公用語化を切り口に、「自分がどうなりたいか」を考える重要性を唱え、
その際に、著者流のヒントを綴っている。
「子供の頃はみんな、「いいなあ」という率直な気持ちがほとんどの主体的な行動の原動力になっていたのではないだろうか。
そして、この「いいなあ」をポジティブに受け入れて、
「こうなりたい」と想像して楽しんでいたはずだ。
妄想したり、イメージしたりするのは、変化に対応するためにはとても大切なスキルである。
頭のなかでいろんなサクセスストーリーを妄想する。
物事が好転していくようにイメージする。
それが、変化への原動力となる。」
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上で触れた、「妄想すること」に関連して、著者は一つ意識していることがあると以下のように綴っている。
「成功した姿を「正しく」妄想する
もっと言うと、「成功したときに、ハッピーでいられるように努力する」ということ。
「こうなりたい」「こうなったら自分は感動する」と妄想し、
成功したときにハッピーになっているイメージをすることが大切。」
「自分の欲に素直になって妄想をふくらませることが、全ての行動の原点である。」
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5.ぶれない軸は、必然性を課すのみ。(P.152)
自分のやりたいこと、すなわち「軸」の見つけ方が紹介された本書の後半には、
「軸」を実現するためのモチベーションの維持の方法が綴られている。
「モチベーションを維持するための一番の方法は、
もう一度、目的意識を明確にし、その目的に対して、自分に必然性を課すこと。」
その際、自分に思い切り利害関係のある必然性をつくり出すことが重要だ。」
「人間というのは弱いもので、理解はしていても必然性を作らなければ、
努力もしないし、変化に対応しようとはしない。」
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こうして、必然性を課すことの重要性が唱えられているこのパートでは、
著者の実際のエピソードが紹介されている。
「今年の春先、運動不足で健康状態があまりよくないと感じたことがあった。
だからといって、朝早く起きて走ったり、仕事が終わってから走ったりできるような
ストイックな性格ではない。
そこで僕が何をやったかというと、「レースにエントリーする」こと。
このときなぜ大会出場を選んだかというと、やはり「必然性」をつくるため。
学生の頃までは、学校がテストを定期的に実施することなどして、「必然性」はすでに用意されていた。
学生ではないビジネスパーソンは、自分で「必然性」を設定していかなければならない。
自分が変われないのであれば、
自分に関わる部分で必然性を作ればよいのだ。
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また、自分という枠組みだけで「必然性」を設定するだけでなく、
一緒に目標を目指す仲間を見つけることも一つの有効な「必然性」の課し方だと筆者は言う。
「刺激を与え合うような仲間を近くにつくっておくことも、
目的への必然性を生むために欠かせない要素の一つだ。」
「刺激し合える仲間がいると、断然モチベーションは変わってくる。
やりたいことがあるなら違う業種だっていい。
同じように志をもって前進している仲間を探すことが大切だ。」
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いかがだっただろうか。
本書のタイトルにもなっている「軸のつくり方」だけではなく、
新たなことへとチャレンジする、一歩を踏み出す勇気をもらえるような言葉がふんだんに詰まった一冊だったではないだろうか。
もし、こちらの本を手にとってみたいという方はぜひ本屋やアマゾンで購入してみてはいかがだろうか。